足尾の小滝地区を流れる庚申川

庚申川広道路の滝(上写真:2005/09/04)

小滝小滝近辺庚申川概要庚申川は県界尾根の法師岳・鋸山を水源とし、源流部はブナなどの自然林で覆われています。中流部は岩盤に挟まれた渓谷が連なり、水ノ面沢•笹ミキ沢•丸石沢•等多くの支流が庚申川に流れ込んでいます。
(左写真;小滝地区での釣り : 2005/07/23)
(右写真;小滝の小滝 : 2011/03/30)

庚申(こうしん)川
項目 データ
水源 法師岳・鋸山
水源の標高 1998m
水系 利根川水系
流域 足尾町地域
河口 足尾町切幹で渡良瀬川に注ぐ
 このように多くの支流を集め、銀山平、小滝を経て流れ、切幹 (ぎりみき)橋の下流で渡良瀬川に合流します。
♦ 切幹橋(庚申川)から
第二渡良瀬川橋梁(渡良瀬川)
を見る。

庚申川堰堤 庚申川堰堤小滝川ダム写真は銀山平にある堰堤湖(小滝川ダム)です。この堰堤に流れ込む流路は複雑な地形の為何度も変化しています。
  水深は年々浅くなり、この立ち枯れ風景も いつまで見られるでしょうか。
( 左右写真 : 2007/09/02 )
♦堰堤湖に映る立ち枯れ風景
♦土砂の堆積により浅く狭くなった小滝川ダム

▲このページの上に戻る

庚申川の滝

坑夫滝 坑夫滝 坑夫滝(光風の滝)
 庚申川の滝といえば "坑夫滝"でしょうか。落差約7mの大滝です。滝つぼに下りられないので道路からの撮影です。どなたか、この私でも滝つぼに下りられるルートを教えてください。
(左写真:2007/09/02) (右写真:2008/03/30)

坑夫滝下流の堰堤 "坑夫滝"見たさに、銀山平堰堤上から入渓する。しばらく溯上すると堰堤に出合った。昭和62年4月完成の小滝川五号ダムだ。このダムで遡行を妨げられた。
 一回目 2007年9月16日、釣りでこの堰堤に出合った。その時はあきらめ左岸の水なし沢を直登し林道に出た。
 二回目 2008年3月30日、今度は右岸から高巻をする。傾斜がきつく道も無かったが、かなり高い位置まで登った。しかし地盤がゆるく頼る木々も無く、私の登攀技量では恐ろしくて下る事が出来なかった。坑夫滝の滝つぼに立つのをあきらめ、やっとの思いで堰堤下に戻る。今回もあきらめ、前回と同様左岸の水なし沢を直登する。途中落石に遭遇、ヒヤリとした。人の頭ぐらいの大きさの石が1mほど離れた脇を落ちていった。モーコリゴリです。

坑夫滝"木下闇の世界"
 庚申林道から庚申川へのがけを、一直線に下だる。下だった先は木々が生い茂り、樹下は薄暗く、深山幽谷の雰囲気丸出しの、それはすてきな渓相の峡谷でした。さっそく、ウェーディングシューズにはきかえ坑夫滝に向かって出発!
    " 木下闇庚申川に風渡る " とおる
(上写真:坑夫滝(光風の滝):2010/07/19)
(注記) ページ訪問者 "釣りキチ親父"さんのお蔭をもちまして、無事 "坑夫滝"にたどり着くことができました。
♦坑夫滝(光風の滝)
♦庚申渓谷

♦木下闇 (こしたやみ)
 夏木立がうっそうと茂って、昼なお暗いさまを木下闇といい、略して下闇ともいう。木下闇の闇は、暗黒ということではなく、暗さを感ずることの表示で、明るい場所から茂った樹林の中にはいったときなど、特にこういう感じが深い。
(抜粋) 図説俳句大歳時記 角川書店

山岳橋から小滝小滝 小滝の
小滝小滝地区を代表する滝といえば小滝坑跡の上流に位置する "小滝の小滝" でしょう。道路に沿ってあるので簡単に見られますが、のぞき込む時は注意を怠ると思ったより危険かもしれません(上左写真:からだをのりだして見おろす:2007/09/16)。
  上右の写真は滝の下流に架かる "山岳橋"からの撮影ですが、この場所がベストビューポイントでしょうか。この橋は庚申川に架かる橋で、昭和29年12月に竣功しました(上右写真:2011/03/30)。
♦ "山岳橋"から "小滝の小滝"
♦直近から写す "小滝の小滝"

広道路の大滝小滝と広道路の間にある滝 広道路の
写真の滝は、爺ヶ沢集落跡と広道路集落跡の間にあります。
 右写真の滝は、小滝坑跡の上流に位置する "小滝の小滝" より、はるかに大きいので、"広道路の大滝"と、かってに呼んでます。
(右写真:2011/04/28)
 上左写真の滝 (右の写真では、奥にある滝)は、日光の "竜頭の滝"と同様に並列の滝で、滝壺水面のうねりには圧倒されてしまいます。この広道路の滝の大きさは、岩の上の釣り人と比較することで、想像できるでしょう(上左写真:2005/09/04)。
♦広道路の滝
♦広道路の大滝

▲このページの上に戻る

庚申川の橋

旧小滝橋 旧小滝橋 旧小滝橋大正15年に小滝坑口の前方に架設された鋼製の橋で、長さ26m、巾3mあります。構造はトラス橋で、部材を曲げる力が生じない形の桁橋です。
 足尾銅山では鉱山鉄道による鉱石運搬が早くから行われていました。この橋にも電気機関車の走る線路が敷かれ、鉱車を牽引して坑内から坑外へと、鉱石の運搬が行われました。
(左写真:坑口に続く旧小滝橋:2007/09/02)
(右写真:旧小滝橋の下流から写す:2011/03/30)
♦若葉茂る旧小滝橋

(旧)古足尾橋 (旧)古足尾橋
 昭和9年に架設された幅員4mのRC開腹アーチ橋 (上路鉄筋コンクリート製で上向きの弧を用いた橋) で、文象地区にあります(写真:2008/03/30)。

(旧)古足尾橋(旧)古足尾橋 この(旧)古足尾橋は、幾何学形態の装飾が施されたグリル(高さ90cm)の付いた欄干が、印象的です(右写真)。
 左の写真は、上流に架かっている(新)古足尾橋から撮影した (旧)古足尾橋です。
(左写真:2008/03/30) (右写真:2008/10/04)
♦古足尾(こあしお): 文象、花柄を含む地域の通称地名で、「小さな足尾」が古足尾の地名の由来となっています。閉山後は庚申川沿いのこれらの地域をも含めて小滝と呼ばれています。

宇都野橋 宇都野橋 宇都野橋この写真は、橋名を刻んだプレート(橋名板)と、 "宇都野橋" です。
(左右写真:2007/09/16)
 この橋の直ぐ近くに採鉱用ダイナマイトを保管する為の宇都野火薬庫跡(国指定史跡)があり、石及びレンガ造りの堅固な建物だそうです。現在は立入禁止です。
 私の記憶では小学生時代の遠足兼写生の時間に宇都野橋を描いた時はトラス橋だった気がします。そして、小学生時代の遠足、"草刈山スキー場"への登り口は確か、この付近でした。
♦草刈山スキー場: 昭和31年 県下スキー選手権大会・県下高校中学校スキー大会開催。

♦ スキークラブ会員の方 (大正9年(1920)生まれ) の、回想文 ♦
 昭和の始めでした。足尾スキー界の大御所○○さんが、お尻にサンダラボッチをつけ、スキーをしているのを見て、「俺も滑りたいな」と思ったのがやみつきでした。十七〜八歳の頃、それまでは舟石や赤法華で滑っていましたが、○○さんの指導で、草刈山にスキー場をスキークラブ会員の手で造ることになりました。草刈山は名のように、原の人々の共有の草刈場でしたから樹木はなく、秋に草を刈れば良かったのですが、それが大変でした。営林署のカラ松を払い下げてもらい、丸太小屋も作り、スキー場の格好は整いました。雪質も良かったので、好評でした。
 しかし、切幹からスキー場までが徒歩で一時間。草刈山ではスキーをかついだり、階段登行と言って、カニのように横に登ったりに一時間かけても、滑る時間は、たった二〜三分でした。一日かけて、滑れるのは三〜四回、私たちが、三十年かけて滑った距離は、現在の若者なら一日間ですべってしまうでしょう。 (後略)
「町民がつづる足尾の百年」 『明るい町』編集部 からの抜粋

新旧切幹橋 新旧切幹橋 切幹橋(ぎりみき)
 切幹橋は、新旧二つの橋が隣り合わせに架かっています。
 写真手前の上路コンクリートアーチ構造の白い橋が旧切幹橋で、奥の橋が新切幹橋です。庚申川は、旧切幹橋を抜けて渡良瀬川に合流します(左右写真:2007/10/20)。
♦旧切幹橋から第二渡良瀬川橋梁

▲このページの上に戻る

庚申川の支流

庚申七滝とウツギの花 水ノ面沢 (みずのつらさわ) 水ノ面沢と庚申川本流との出合い付近に、"庚申七滝"という連瀑があり、遊歩道がつけられています。一部崩壊しているので一部通行不可能です。庚申山登山はこの沢に沿って歩きます。
 写真は庚申七滝を背景に咲き誇るウツギ(空木)の花で、小学唱歌「夏は来ぬ」に唄われる「卯の花(ウノハナ)」は本種を指します(写真:2008/06/14)。
♦庚申七滝 (こうしんななたき)
♦水ノ面沢 (みずのつらさわ)
♦水ノ面沢

(現地案内板の一部引用)
庚申七滝は、七段の滝と呼ばれていた。この七段の滝を江戸須田町丹後安右衛門が世間に知らしめたと言われている。この安右衛門は庚申山講者であり松翁行者と号し3千余人の講員を集め中居の庚申山入口に石碑を建てた程信心深く、庚申山への参詣の途中で講員達はこの七段の滝で休息したり滝の水を飲んだりみそぎをした。庚申山講とは、庚申山に登山し猿田彦神社に参詣する信仰団体を言う。そしていつしか、この七段の滝は人々に庚申七滝と呼ばれるようになり、庚申山のシンボルとして登山者の疲れをいやしている。

庚申川と丸石沢との出合い丸石沢の滝丸石沢左写真の滝は、庚申山渓谷林道と交差する地点にあるので簡単に見ることができます。
 右写真は、庚申川と丸石沢との出合いです(左写真:2007/09/16)(右写真:2006/03/21)。
♦出合い: 二つの沢が合流するところ。
♦丸石沢にて
♦丸石沢にて

文象橋文象沢(ぶんぞう)小滝小学校跡に続く石段の脇には、文象沢に架かる旧文象橋があります(右写真:2020/06/09)。
 文象沢は備前楯山を水源とする沢ですが源流部のため大石で埋まっています。そのため流れが伏流状となり涸沢の状態になっています。傾斜の急な文象沢には、洪水時の土石を止める堰堤が数多く存在します(下写真:文象沢堰堤:2020/06/09)。

文象沢堰堤(写真:文象沢堰堤:2020/06/09)
⇒ 文象沢の堰堤へ

▲このページの上に戻る

◎ 本ページの作成に当っては下記文献を参考にさせていただきました。記して深謝申しあげます。
  • 岡田敏夫(1988)『足尾山塊の沢』白山書房

a

 ▽ページ内リンク
庚申川
坑夫滝
小滝
(旧)古足尾橋
宇都野火薬庫跡
庚申七滝